1. いけばなって、なんでしょう?

笹、藪柑子




「1.いけばなって、なんでしょう?」



そもそも、いけばなというのは、なんだかよく分からないものです。 じっさい、本に書いてあることも、あまり多くありません。


でも、花一輪でも、枝ひと枝でも、部屋においたときに、空間がきりっとひきしまるように変わったり、ちょっとほわっと良い気分になったりとか、はじめて部屋に遊びにきた彼女(友達以上恋人未満)が、「えーマジ意外!お花いいね!きゃー」、とかいったりとか、わりと多くのひとが経験したことがあるのではないでしょうか。


実はそれが、謎めいたいけばなというものの、本質にちかいことだとおもいます。 いけばなは、それがたった一輪でも、とてもつよく、周りの環境、空間、すなわち、"場"とインタラクション(相互作用)をするようなものです。場から影響を受けて、また、場になにか作用をする。場は、季節であったり、建築であったり、うつわであったり、湿度であったり、土の成分であったり、気分であったり、します。


そんなふうに、はなと場をひっくるめた相互作用系全体のかもす性質として、"なんかいいよねという何かしら"が創発して出てくることが、いけばなシステムです。この "なんかいいよねという何かしら" は、"美" とかよばれたりするものかもしれません。
このことを、真面目に考えて哲学にまでもっていった藝術が華道だとおもいます。


しかし、なぜ日本だけで、このような意味不明なまでに超高度な技術ができたのでしょうか。
そして、それがなんで、ほんの一枝、一輪で十分にできてしまうのでしょうか。
いけばなを考えていくと、日本のしくみとか、日々をちょっと良く生きる術とか、とても大事なことがわかってきそうな気がします。