工芸青花

工芸青花11号に、富井貴志さんが陶芸家大谷哲也さんの記事を書いていて、そこにトボ(洋)の原子の写真が、富井さんの器と並んで載せてられています。今こんな対比をしめせるのは、世界で青花だけでしょう。

自然はどこまでもフラクタルにつながっているので、物質表面の原子の自己組織化と、(生活)工芸と、長さのスケールが10桁くらいも違う世界にも、共通する普遍的な美しさがみられるのだと思います。柳宗悦さんの民藝理論によく出てくる"他力の美"とか、"よき模様"とかの実は、このようなことのはずです。

(例えば曰く、「よき模様に天然の加護がないものがあろうか。人の力が作るとはいうも、そこに加わる自然の力に比べては、いとど小さなものに過ぎぬではないか。(工藝の道)」)

柳さんの民藝理論は浄土思想をベースに書かれているので、今となってはむしろとっつきにくいのですが、物理的にも結構正しいなあと感心することが多い。民藝理論を自然科学の言葉でアップデートしてみるのは、これからとても意義のあることな気がしています。

工芸青花